<温冷水式ヒートポンプの構造・仕組>
ヒートポンプもまた自然エネルギー利用であり、日本の優秀なコンプレッサーの働きで消費エネルギー以上の熱量を作り出すという精密機械です。
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ヒートポンプは冷媒である二酸化炭素またはR410という新冷媒(空気より重い)を圧縮したり膨張させたりして熱を発生される暖房運転と、熱を奪うという冷房運転をおこないます。
特に蓄熱で使用するヒートポンプは下の説明図のように冷温水を作る「交差型熱交換器」と、そこで作り出した温水(冷水)を循環させる「循環ポンプ」が組み込まれているのが特徴です。
写真の通り、見かけはエアコンの室外機とそっくりです。 |
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図のように一般のエアコンのように片側では冷媒(気体・液体)を利用して熱を作り出したり、あるいは熱を奪う働きをするヒートポンプ。
蓄熱式で使うヒートポンプではさらに、作り出された冷熱を「交差型熱交換機」で循環水に熱を移して温水を作り、あるいは熱を奪って冷水を作り出します。 |
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最近では急速に「自然エネルギー利用」が叫ばれ、あらゆる可能性が探られています。火山列島ならではの「地熱」、あるいは「風力」、島国ゆえの長い海岸線を利用すべく「潮位差」の利用など。
それ以前からすでに利用されてきて当たり前となり忘れがちなのが、空気温度の利用です。ヒートポンプでは過去30年以上も改良が続けられてきたコンプレッサーの驚異的な働きにより、熱に限れば使用エネルギーの実に4倍以上のエネルギーを作り出すという離れワザとともに、上記の絵のようにファンを取付けて空気を熱交換器に吹き付け、暖房時では空気熱を得てさらに圧縮し、あるいは冷房時には空気温度を冷却に使っています。
扇風機並みでありきたりみたいな方法ですが、これも立派な自然エネルギー利用です。実際の応用では、こうしたシンプルさと確かさ(信頼度)がかなり重要になります。
ところで冬の0℃の空気からどうして熱が得られるのか、と、よく質問を受けます。
その答えは、通常われわれが使っている℃温度はあくまで生活上の目安として利用されているもので、物理的なエネルギー量としての温度は実際には別物だからです。
低温により熱を含めたエネルギーが運動を停止するのは、℃でいうとマイナス273℃といわれています。研究ではなおこの温度でも原子は完全停止していないようだ、とは、最近では言われてはいます。
いずれにしろ、熱量としての空気中のエネルギーは気温がマイナスになっても存在します。氷が張るような寒い朝でも、その冷たい空気を凝縮すると熱が搾り取れる、というわけです。温度というより「熱量として考えた方が実際的になります。
℃温度のみで考えたり習慣として0℃は寒い、あるいは30℃は暑いといいつつ、「体感温度」と呼ばれるような実際の誤差は、この点で生じます。ビルの谷間の夏と冬は、この体感温度と℃による気温差で納得がゆかない、と思われることはしばしばです。
この誤差を生むのは、周囲の空気温度とともに輻射熱(遠赤外線)が関わっているからです。ビルの谷間に満ちている熱エネルギーの総量は、空気温度とそこに混じって寒暖計には反応しない赤外線量とその運動方向により決まります。
暑い、寒い。あるいは暖かい、涼しいという判断は、体温との関係で考えると分かり易くなります。体温が早く放出されていると寒く、あるいはなかなか放出されないと暑い、と感じられるわけですが、そのときの空気温度はいわば湿度の濃淡を含めた衣のようなものです。そこへさらに、扇風機などで風を送れば、体温の放熱は早められて涼しくなる、あるいはさらに寒くなります。いってみれば体温の交換速度が早められたから、ということができます。
このときの赤外線は暖房(冷房)効果としてはかなり無力です。赤外線と空気温度とはなかなか交わらない、といえます。性質が違うためそのままでは平均化しません。人体に対して別々に影響を与えている、といえます。
蓄熱式床暖房(床冷房)は、このあたりを明瞭に分けてプランニングしないと、結果が読めなくなります。
「ヒートポンプ」というと普通は空調機を連想しますが、最近ではパナソニックなどが洗濯機にこの原理を応用していて、衣類乾燥や足元の冷房に利用したりし始めています。
蓄熱式の熱源としてのヒートポンプは、これで作られる冷熱を循環水(不凍液)に移動させます。熱媒体としては気体より液体の方が優れているため、冷温水として屋内に導入して蓄熱させるという方法を採っているわけです。
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