システム商材。「蓄熱式床暖房」のご説明。



※すべて同じ温度で同じ体積の時の比較
熱の三要素、伝熱・輻射・対流。物性の違いから空気(気体)と物との間での熱交換は一律ではありませんが、一般的な室内空間では空気の保持する熱が物(壁・天井・床)へと移動する速度は遅く、これを蓄熱に利用するには温度をさらに上げて熱量を増やし、さらに風速をあげるなどし、これを受ける物の表面を滑らかにして伝熱率を上げる工夫が必要になります。
いわゆる全館空調ではゆえに「蓄熱効果」は二の次にして24時間のあいだ対流を止めないことが条件になります。
ただし快適さはやはり、対流に頼らない蓄熱式全面床暖房が上位となります。

そもそも「蓄熱式」とは 1
 ※各暖房システムの特徴

 輻射熱(
右側の項参照)を主体に暖房・冷房をおこないます。いわば輻射熱環境をつくりだします。
 床暖房効果としては一般の床暖房と同じですが、蓄熱式との相違点は熱エネルギー量の大きさ、です。
 ただし、単純にその差だけを利用すると暖房として暑くなりすぎます。このため床表面温度は他の床暖房より温度を下げる必要があります。これが別名「
低温暖房」の由来です。
 
単純な比較ですが、東京ガスやノーリツなどのメーカーの床暖房仕様は温水マット・温水パネルと厚さ9〜15mmの製品を使用します。この製品を蓄熱体とみなすと、ここから暖房に必要な輻射熱=遠赤外線を放出するためには、保有できる熱量がとても小さいため、どうしても床表面温度を高くしてやる必要が生じます。この場合は25℃〜30℃は必要な温度となります。
 蓄熱式では21℃前後で間に合いますが、一般の床暖房では25℃以上を必要とします。このため、床面に触るとマット・パネル式の床の方が暖かく感じます。直接の伝熱温度が高いからです。それでより暖かくなる、とはいえないのです。高くしないと必要な輻射熱量が得られません。
「エネルギー・輻射熱」とは何か」 その1

 少々面倒な話となりますが、輻射熱とは「遠赤外線」のことで、これは熱が空中を移動するときの姿だ、といえます。空中では遠赤外線で、それが絶縁体にぶつかると熱に戻る性質の運動体です。
 物理的には「電磁波」として分類されます。周波数(10μm前後の帯域)をもち、それ自体がエネルギーとして扱われます。
 これが観察的に発見された(物理運動として認識された)のはアインシュタイン以前のことで、100年以上前です。物理では有名な「光電効果」という現象が観察され、しかし物理的な説明はまだ当時では困難でした。ある種の光線が物体に当たると瞬間に電気的な性質を示す、まではわかっていました。
 これに着目したのが「相対性理論」のアインシュタインです。光もエネルギーの一種であり、そこで生じる熱もまたエネルギーだと直感したのです。質量(m)とエネルギー(e)は同じものと考えていい、と結論付けたのです。「電磁波は全てエネルギーである」と。このことをヒントに彼の理論は成立しています。有名でシンプルな公式、「e=mc2」は物理運動の極限値です。光(c)を物差しとして使い、エネルギー(e)と質量m(の関係を示しています。
「質量」を増やせば「エネルギー量」は増大します。
気体(空気)を含めて物質の全ては熱容量で比較することができますが、それぞれの熱許容量は相違します。
そもそも「蓄熱式」とは 2
※冷暖房プランの考え方

 よく耳にする誤解は、温度にまつわる基準・目安です。
 これは空調機器との比較において特に聞かれます。空調の専門家でもあまり意識していないケースがほとんどです。
 暖房のために必要な部屋の目標温度が25℃であれば、どんな暖房方式を採用しても必要なのは25℃である、という単純な考え方に問題があります。負荷計算においても、東京であれば−2℃から25℃まですみやかに立ち上げる能力を求めます。27℃昇温できる能力が必要、と結論します。
 暖房・冷房が空気を温める、冷やす、という前提ならそれでも良いのかもしれません。エアコンの特性は立ち上がりの良さです。この特性を生かすには能力は大きめの方が無難です。東京でも寒波などで0℃以下になることもありえるので、この能力は必要です。いざというときになかなか温まらない、冷えない、というのは頼りないものです。居住する人を暖かい空気で包む、涼しい空気で素早く包む、という考え方です。この空気調和はコントロールが困難なのですが、一度使えば家ごとに相違する必要負荷もだいたい見当がつき、慣れれば設定温度の目安もつけられます。使い方により、20℃でも暖かい家があり、あるいは25℃で暖かいと感じる家もあります。
 ここまでは考え方として自然で正しいといえます。この空調計画では最悪の事態(温まらない・冷えない)を設計責任として回避する意図が含まれてもいます。現実的には致し方ない考え方です。
 空気を温める、冷やすことだけが暖冷房か ? という発想が蓄熱式にはあります。
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「エネルギー・輻射熱とは何か」 その2

※余談1

 これらeとmが同じだというのは、二つは分かちがたい、実際には数値として一体である、と言い切れる共通の物差し、単位があるはずです。個々別々に考えることはできても、実際の物理現象としてはそれぞれが単独では存在しえない、という意味になります。
 ここにc (光の速度)を絡めるのは、いわば実際の空間での素粒子を含む物の運動として、統一的に了解可能な確固とした限定をおこなうためです。
 言い換えると、宇宙空間全体において計測可能な、この世の物理運動を数式によって仮想的に再現できる、ということです。
 1+1=2という数式は、それ自体ではこの現実上の、特定の関係を示したり意図することができません。実際にミカンとリンゴが一個ずつあり、合計はいくつかという命題があって初めて、この数式には意味がもたらされ、人間に役立つ働きを獲得します。人間にとって便利な道具となります。日常で実際ににだれでもお金の計算とかに使っています。
 ニュースで時に流される「素粒子」の観察(カミオカンデなど)でも、「純水」という非電導体の中を通過するニュートリノなど素粒子がこれにぶつかり、行く手を純水に阻まれて瞬時に微光とネットに化ける様子が紹介されています。それまで素粒子は物質ではない、えねるばーはゼロ、ヘタをするとマイナスのエネルギを持っているのではないか、と疑いとも期待とも思える憶測がなされたりもしていました。
 結果、アインシュタインは正しかったことになります。すべての運動体は質量=エネルギーを持っている、ということを実験は裏付けたたからです。
そもそも「蓄熱式」とは 3
※冷暖房プランの考え方

 輻射効果を期待した暖房方式は古くからあります。蓄熱あるいは地熱を利用した建物も多くあります。古代ローマの石造りの建物の遺跡、暖炉、身近では朝鮮半島のオンドル、アイフ民族の家「チセ」、縄文期の竪穴住居、吉見百穴の岩盤をくり抜いた住居。時代が下ると鋳物鉄も採用されます。
  これらに共通しているのは蓄熱体として石、土などが適しているという生活経験です。現代では韓国でも日本でもコンクリートを採用しています。身近で効率の良い素材、建築ついでに採用できる手軽さ、コストなどの条件も住む者に味方しています。
 主に欧州大陸で建物に利用される「石」は石灰岩で加工しやすく、しかも比重が低めなので以外に保温性があります。夏でも冷房装置が不要だったり、外気温殿影響を受けに久手特性があります。これは「断熱性能の良さ」と言い換えられます。
 これに比べて岩穴は冷えるイメージですが、比重の高い素材は人為的に温めさえすれば今度は熱容量が大きいため焚火でもして常時過熱してやれば快適になりまた。竪穴住居でも同じで、古来よりの蓄熱型の暖房では人為的に熱を加えてやることは必要でした。「熾火」という言葉がありますが、これは毎日火を起こすのが面倒でもあり、火種を残しておいていつでも燃え上がらせ、調理でも暖房にでもすぐに使えるように、という発想に寄っています。同時に建物を冷やし切らないという配慮もあります。
 西欧でのイメージですが、農家のおばあさんが留守番中に暖炉の火を絶やさないよう薪をくべつつ、椅子に座っています。しかしなお火はもったいない。ならばと売り物にならない硬い肉などを鉄鍋に入れ、日がな一日グツグツと煮ている姿。これが魔女なら似たような鍋で薬草やらなにやら、マジナイの準備にいそしんでいる姿、というのも目に浮かびます。
 温まりにくくしかし冷めにくい。さらに石は熱容量が大きいために、暖炉の前ばかりでなく輻射熱も豊富で、室内はこの光の速度で物から物へと飛ぶ遠赤外線効果により全体に温まります。そうすると壁や天井に接した空気も次第に温められ、しかしエアコンと違って暖かい空気は四方から温められるためじっとしています。対流を起こしにくくなっています。
 暖炉でひととき温まったら、あとは残り火を消さないように、ときおりおばあさんはノンビリ薪を足します
 現代はこれを機械的に計画的におこないます。。

「エネルギー・輻射熱とは何か」 その 3

※余談2・ 人間にかかわる問題

 現代哲学ではなお、この素粒子は「永遠か?」というテーマを抱いています。人間の意識も心の存在もすべて脳髄に存する以上、ならばその働きを科学的に物理的に説明しよう、という哲学の姿勢です。
 障害物にぶつからない限り、素粒子は宇宙を重力波の影響などを受けつつも直線的に横切り、星々をも貫通し、運動し続けていねると思われます。ただしこれも、確率的には純水(絶縁体)を貫通し切れなかったように、いずれ消滅するのは明白で、ただし光電効果同様、他のエネルギー体に変化する、と考えるべきでしょう。やはり「エネルギー不変」といえます。概念として物的性質の一側面でのみ捉えようとすると、曖昧さがその脳裏を掠め、
どこまでも未知の領野を彷徨うという、現代文学的幻想の課題に侵されるだろことに陥るはずです。
 計算による宇宙の質量総計は推測される実際の数値のニ、三十%程度ということですが、それで未知の物質として、「暗黒物質(ダークマター)」などと黒いミステリーよろしく語られます。これもまたあるかなしかの微量な質量の総計を測り難いまま計算する結果だろうと推測されます。「一億光年の彼方」から星の光が届く、とは、誰でも折に触れて見ている空の星の光が、その距離をエネルギーを失わずに飛んできている、と想像すればどうでしょうか。その光は地球だけでなく、彼方の恒星では端的に十六方位へ向けは飛散するそれは一部に過ぎない、と考えるのが妥当です。光ばかりでなく、白色矮星の崩壊ではさらに巨大なエネルギーが四方へと放出され、それが無限と思しい距離を移動中なのであれば、それも算入する必要があります。実際よりまるで足りない答えが出たら、それがいかに精密な計算であっても、:結果としてかなりなドンブリ勘定としかいえません。
 ゆえに現代哲学が託す究極の存在論は、そのアプローチ当初から紙一重の齟齬を孕んでいるだろう、と推測できます。そうだとしたら、人間の意識、あるいは精神、・心の問題は物理的な方法ではとらえきれず、永遠に並行するといえます。
 同様にこのことから反転して、フランスの現代文学のたとえばミシェル・ウルベックの主張は的を射ていて、しかし回答できないまま放蕩しています。彼は素粒子に象徴される哲学を呪っています。
そもそも「蓄熱式」とは 4
※古代と現代ではなにが違うか ?

省エネ=維持コストの低減、より質の良い快適さを求め、建築家・設計者たちは古来よりの知恵を参考にしつつ、別な方法で同じ効果かそれ以上の環境を構築しようと奮闘してきました。「家」の付く職業の方々はそれぞれ独立系のようですが、知識として、あるいは情報として古来からつながっています。
 当然のことですが、まずは雨露をしのぐ、という基本は竪穴住居の時代から変わらず、洋の東西を問わない、という単純な事実。さらに温度・湿度管理、断熱・気密性能など、科学全般の成果を参考にしつつ改良を加えてきました。
 人はただし、機能性や効率のみ求めるものではなく、デザインやさまざまな意匠にも期待します。その結果出来上がってくる建物はどれも個性的です。共通するものと比較できないもの、あるいは伝統的な意匠や未来的なこれまでなかったフォルムなど、歴史的な時間の中で養われた知見の総括やそこからの脱皮を試みています。そこに住まわずとも、見ていて楽しくなる建物も多くあります。町の象徴となる建物もあるはずです。
 一人の人間の中での建物・環境への期待値は、竪穴住居の構造を採用して原初的な自然環境に住みたい、というものから超現代的な建物にも住んでみたいという、複合的な願望が垣間見えます。迷いつつ、なにを選択するか、これが楽しみでもあります。
「エネルギー・輻射熱とは何か」 その 4

※余談3・ 人間にかかわる問題

 この現代の混迷を知りたければですが、こうしたことからも現代を推理できる、ということです。ウルベックの混迷は、自らもエンジニアリングの勉強をしたがゆえに、科学を信じ、それによって自己疎外を起こした人間の姿を示しています。彼は自分自身をフロイトの精神分析的には了解しており、しかし文学的にはまったく根拠を待てずに虚妄のまま苦しんでいます。これは彼の文化的な背景としてもキリスト教などの唯一神的な一元性の絶対をなお無意識に信じていることによるのかもしれません。
 こうした問題に踏み込めばだれしもひひとき路頭に迷うのは必然でしょう。それもアジア地域より欧米地域の方が顕著な気もします。日本がこうした問題から免れるのは、きゃりーぱみゅばみゅがいるから、とでも説明できそうです。アニメ的なあどけない表現もまた尊重されるべきと思われます。「日本的」とは出発において良くも悪くも無意識にでも心が前提になっていて、キルケゴールのキリスト教的本来『死に至る病』からかけ離れています。
 迷うことはあっても本来は自傷傾向からは無縁と思われます。


※生きる上での『快適性』について (別項編集中)
※エアコンの特性
即暖性・即暖性に優れている。現代人の行動パターンは複雑化しており、暖冷房の必要性は間歇的といってもいい。短時間の使用やすぐに温めたい、冷やしたいという要望に即時対応できる。その限りで維持費も安い。
機械としてのエアコンの性能は進化し、高勝率も大幅に低下している。普及率が圧倒的であることはこの利便性をよく反映しているといえる。
特に冷房時の威力は、モンスーン気候の端に位置する蒸し暑い日本では「ありがたい」と思わず声を上げるほど頼もしい。
イニシャル・ランニング両コストに優れているこの商品は今後もアジアを席巻する。日本の給湯設備同様、完成度の高い誇るべき商品だといえる。安い・簡便という特性は市場のニーズにしっかり密着している。つまり根強く支持され、簡単に廃れるものではないといえる。
ゆえにまた、電気エネルギーの確保は、国にもより最大限の努力を期待するところでもある。「経済復興」とはエネルギー需要増大という意味にほかならない。「節約」というキーワードは、ほとんど体の良い逃げ口上でしかない。現状、「だから値上げする」という短絡的な「公共料金」の言い訳に利用されている。
もと家庭次元でも太陽光発電や電気自動車の余剰電力利用などが促進されれば、「節約」ではなく効率の良い経済的な電力消費という習慣が生まれるバスなのだが。エアコンをじゃんじゃん遠慮なく使える生活、は実現されるべき。そのトータルがアジアの模範、あるいはグローバルな指標になるはずなのだが。
       

<モアの蓄熱式の特性>

 温水・冷水を熱媒体としてコンクリートやモルタルを蓄熱体とするので安価です。コンクリートの特性として暖まりにくく冷めにくい性質が最大限に生かされます。製品化されたものと相違して耐久性もバツグン。
 配管に使用するパイプの素材は架橋ポリエチレン。強アルカリ・強酸性に強く腐食しません。弱点は「紫外線」ですが、コンクリートに埋設されているためまったく問題になりません。50年以上の耐久性があります。暖房時に循環させる温水温度は40℃内外の低温床暖房です。このため配管素材をさらに痛めにくく、信頼性の極めて高いシステムとなっています。
 屋内側にはセンサーなどの余計な装置を取付けないため故障がありません。故障がありうるのは機器本体(ヒートポンプ)ですが、これは屋外に設置されるため修理も容易。更新時も機器本体の交換のみで済みます。全国どこでも機器の故障時には、機器メーカーとのタイアップにより即日対応が可能となっています。
 
 同じ「床暖房」でも、蓄熱式では特に輻射熱(遠赤外線)効果のみに着目し、その特性をフルに引き出して活かしています。徹底した輻射熱効果を狙うことにより快適性が他の床暖房システムより優れています。低温(床表面21〜22℃)で済むのは赤外線量が豊富なためです。その豊富さとは、蓄熱される「熱の総量」が他のシステムとは異なるからです。床表面を25℃まで暖めると、すでに暑すぎます。パネル式などの床暖房は温度を25℃以上に昇温しないと赤外線効果が表われませんが、これこそ蓄熱量の差で、言い換えると床下の熱エネルギー総量の違い、ということになります。
 さらに熱源機として使用するヒートポンプは消費電力1.485kW(実行消費測定1.3kW)で出力は6.3kW。COP値4.2となっています。空気が持っている熱を利用し、機器内でコンプレッサーなどから熱となって逃げる電気エネルギーも回収して利用しています。
 操作もシンプル。循環水温度を運転時間を指定し、あとはシーズン中はそのままお任せ運転となります。
 維持費は「時間帯別単価契約」で3,700円/月程度、普通電灯契約で9,000円/月程度となります。都市ガスでは同じ出力で15,500円/月以上となります。1F全面床暖房でこの維持費です。
 なにより快適。経済性や安全性、健康、環境への配慮やエコイズムの理念に一番現実的な回答として、ヒートポンプ式蓄熱は理にかなっています。寒冷地仕様も登場し、マイナス20℃まで対応します。
 今後、自然エネルギー利用の設備が増えても、それで得ようとするエネルギー源はやはり電気です。こうした流れを最大限に活かせるヒートポンプはタフで実際的な熱源といえます。空気熱を圧縮して利用するヒートポンプはそもそも自然エネルギー利用のシステムで、省エネ・システムです。
 暑くもない寒くもない熱環境では冬でも夏でも活動的になります。ときには「何も感じない」というクレームがあります。暑くもない寒くもない環境とは、そういうことです。熱環境における快適さとは、それ以外のものではありません。なにより自然で、その自然さがこの上ない贅沢とも言えます。もちろん人によってはもう少し暖かさを望む場合もあります。温度は蓄熱運転時間で調整し、我が家で必要な「快適さ」といいうる温度環境を作り出せます。少し使い慣れればさらに快適さの意味が分かります。
 そこに暮らしてみなければ分からない快適さ、ということがあります。ぜひ体感してみてください。

○温水 ○冷水
インバータ制御のコンプレッサーで冬は空気から取り出した
で23℃〜60℃のお湯を作り、夏は空気で冷却して7℃〜25℃の冷水を作り出します。循環ポンプ・熱交換器を内蔵した最新鋭・高効率ヒートポンプを熱源として使用します。
コンパクトな温冷水暖冷房専用ユニットです。スペースが確保できればヘッダーは屋内の床下に設けますので、外側はこのヒートポンプのみ設置します。
○仕組

仕組は上図のように埋設された耐久性に優れた架橋ポリエチレン管に、季節に応じて温水」「冷水」を流します。「蓄熱式床暖房」と「蓄冷式床暖房」がシステムを共有し、効率のよい運転をおこないます。
機械本体が持つ制御機能をフル活用し、屋内・配管側ではセンサー等、故障の原因となる制御機器を一切排除しました。そのため屋内側での故障はなく、メンテナンスフリー。極力シンプル化に努めたタフなシステムとなっています。
○操作
操作は簡単。リモコンで温度と運転時間を指定し、毎日自動で運転を繰り返します。蓄熱式の運転は温度管理というより時間管理です。寒波襲来時などは蓄熱運転時間を延長して対処します。予報があったら前の日に「予約2」のボタンをオン。それだけです。
※立地条件・建物の断熱性能によっては延長運転を要します。
○快適性

 蓄熱式床暖房(床冷房)は空気を暖めるのではなく、遠赤外線効果による暖冷房です。この「遠赤外線効果」は、熱(冷熱)を帯びた物と物との相互の熱量の関係(差)により、熱が移動する性質を利用したものです。そのため室内の空気には直接の影響を与えません。空気はきわめて希薄なため、赤外線を受け止めることができません。
 断熱に留意した建物では、蓄熱層(蓄冷層)以外の壁や天井にも蓄熱や蓄冷が生じます。このため人の体温は四方から来る遠赤外線により、ほど良く暖められたり冷まされたりします。
人体もまた自分で熱を作り出していますが、その熱放出を抑えると暖かく、促進してやれば涼しく感じます。この体温の放出速度を遅くしたり早くしたりすることが、蓄熱式特有の方法で、独特の暖冷房効果となっています。これが床暖冷房の快適さの秘密です。
「暑い」「寒い」は習慣的にどうしても周囲の空気温度を目安として判断しています。そのために寒暖計もあります。
その身に付いた習慣のため、蓄熱式床暖冷房の「効き目」は微妙です。寒くはなくても寒暖計の温度を見て「寒い」と訴えるお客様が時折あります。なのにお客様はTシャツ一枚で過ごしていた、ということが実際に何度もあります。
蓄熱式でも実際に室温をどんどん上昇(下降)させることは簡単にできます。それにブレーキをかけるのは、「維持費」と実際の「快適性」の問題です。この「心地良さ」は、体験しなければ分かりません。ここが歯痒いところです。
居室も廊下もトイレも洗面所も家中が均質な温度であること、というのは、その快適さにおいて想像できるでしょうか。「暑さ」「寒さ」を家の中でだけは忘れてしまう、そういう自然な温度環境ができあがります。ぜひお試しください。
○ セ氏(℃)温度と華氏温度とは

「空気温度0℃」これでどうして熱が取り出せるのか。ヒートポンプとはなにものだ、と思う方は、皮肉ではなく科学的態度の持ち主です。疑えばこそ真相にたどり着けます。
この「セ氏温度」による寒暖の判断は習慣になっており、あまり疑えないものです。これが疑えれば、やはり大したものです。
「空気は希薄」と「快適性」の項で書きました。希薄ゆえに赤外線もほぼ素通りします。曇った日の夜は放射冷却が起こりにくく、「生暖かい」という体験もまた、だれでも自然に身についています。水蒸気(雲)を多量に含んだ空気は、その色からして希薄とはいえません。それで赤外線は素通りできず、地熱の放出は遮られ、水蒸気はその赤外線を受け止めて暖まります。空は広い分、その熱量は恐ろしいほどのものになっているはずです。それで温度を測ってみたら20℃だった、という場合、もはや問題は消えてしまいます。いつもより生暖かいが、暑くはない、といった実際的な判断が真相の追究を止めてしまいます。それで問題もありません。「実際的な判断」はたいてい優先順位が高いといえます。これはエンジニアリングでも重要なファクターであり、とても大事です。理には適っているようだが暖まらない暖
房機に、だれが目を向けるでしょうか。
ところで、水が凍りだす温度0℃もまた、実際主義のフランス人が考え出したもので、日常の寒暖を見極めるのに便利な指標です。実際的です。それで普及したといえます。
ヒートポンプでは、この寒暖を知るのに便利で実際的な0℃の空気を、さらに無理やり圧縮し、そこに含まれる希薄なエネルギーをトコトン搾り出す、そういう仕組みです。
コンプレッサーがこれをおこないますが、この装置はエアコン開発・改良の歴史があり、現在ではかなり高度な性能を持つに至っています。ロータリー・エンジン的な精度です。決して建築設備世界の新参者というわけではありません。日本の技術で磨かれています。頼もしい機械です。エネルギー的にも「希薄」に見える低温度の空気とはいえ、希薄は「無」ではなく、なお酸素や窒素といった分子を含んでいるからには、それを搾り上げて熱量として取り出すことは可能、という技術がヒートポンプです。
「華氏0度」は物理上の0度です。あらゆる分子エネルギーが運動を止めるといわれています。実際はそれでもまだ少し、分子はジタバタするようですが。この温度をセ氏でいうと、−273.15℃となります。凍るどころの話ではありません。この世のすべてが停止する温度です。0(ゼロ)K(ケルビン)とも表示されます。そのため、0℃以下になっても空気中から熱は取り出せるわけです。
ただし、「熱効率」の問題があります。−10℃以下になると、熱は取り出せても効率が落ち、実際的な利用には適さなくなります。暖房でのヒートポンプの実際的な利用は−5℃程度が限界で、気温がこれ以下になる地域では別途ヒーターを組み込んだタイプが必要となります

これらの性質から振り返りますと、ならば関東以西の太平洋沿岸部はヒートポンプに限る、と言えるようになります。気温がほとんど0℃を下回らない地域や、あるいはもっと暖かい地域では、実際的なヒートポンプに頼らないことには、端的に「損する」と言い切れます。気温が5℃程度あると、ヒートポンプは俄然元気になり、お湯を作る運転の立ち上がりがとても早くなります。蓄熱式では、運転時間も短くなり、維持費は当然さらに下がります。
この地域ではエコキュートともに、別途、暖房・冷房用ヒートポンプの採用は「とてもお得」です。ぜひお勧めします。


※その他暖房専用仕様、寒冷地仕様もございます。ご相談ください。